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辻本啓主任研究員、長船健二教授らが、ヒトiPS細胞から腎間質前駆細胞の選択的な分化誘導法を開発し、糸球体メサンギウム構造を有する腎組織を体外で作製することに成功、論文を発表いたしました


弊社の辻本啓主任研究員、取締役最高科学顧問の長船健二教授の所属する研究グループは、ヒトiPS細胞から腎間質前駆細胞[注1]を高効率に分化誘導する技術を開発しており、これらの技術を用いて英アストラゼネカ社および京都大学iPS細胞研究所と共同で腎臓組織を試験管内で再現し、治療法の開発に利用することを目指しています。
この共同研究により、メサンギウム構造[注2]を持った糸球体[注3]を含む腎組織を体外で作製することに初めて成功しました。
さらに、間質前駆細胞から腎エリスロポエチン産生細胞[注4]やメサンギウム系譜細胞を培養皿上で作製し、それぞれの分化に重要なシグナルを明らかにしました。本成果は、ヒト腎臓の発生生物学の新たな知見と腎臓疾患の仕組みの解明や腎臓の再生医療開発に向けた研究に貢献することが期待されます。

この研究成果は、2024年1月18日に「Cell Reports」で公開されました。

プロジェクトの詳細については、2022年2月のリリースと基盤技術のページをご確認ください。
https://www.regenephro.co.jp/news/2022-02-07/
https://www.regenephro.co.jp/technology/

論文名:
“Selective induction of human renal interstitial progenitor-like cell lineages from iPSCs reveals development of mesangial and EPO-producing cells”

国立大学法人京都大学 iPS細胞研究所プレスリリース:
https://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/pressrelease/news/240118-010000.html

[注1]腎間質前駆細胞
腎臓の糸球体の足細胞や尿細管、集合管などの上皮以外の間質に分化することができる前駆細胞のこと。生体内で赤血球を作るために必須のホルモンであるエリスロポエチンや、血圧を調整するレニンなどのホルモンを作る細胞も腎間質前駆細胞から分化する。

[注2]メサンギウム構造
糸球体の中で毛細血管をつなぎ止める組織。糸球体機能と腎疾患の病態に重要な役割を果たす。

[注3]糸球体
腎臓内の、血液をろ過して尿を生成する組織。毛細血管が糸のように丸まっているため糸球体と呼ばれる。

[注4]エリスロポエチン産生細胞
赤血球を作るために必須のホルモンであるエリスロポエチンを産生する細胞。腎臓は、血液をろ過し、尿を作ることに加えて、エリスロポエチンや血圧を調整するホルモンのレニンの産生と分泌も行う。